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「お箸が苦手」の奥にある、子どもの成長の物語
子どもの「できないこと」に直面したとき、私たちはつい、その一点だけを修正しようと躍起になってしまいます。「お箸が上手に持てない」という悩みも、その一つかもしれません。しかし、その小さな指先に現れているのは、実はもっと大きな身体の物語の一部なのです。肩から肘へ、肘から手首へ、そして指先へと続く、見えない成長の道のり。この道を、遊び心と共に旅することができたなら、子どもの世界は、そして私たちの眼差しは、もっと豊かになるのかもしれません。 「うちの子、お箸を上手に持てなくて…」 これは、私が数えきれないほど耳にしてきた、親御さんたちの切実な悩みです。インターネット上にはたくさんの解決策が溢れていますが、今回は私たちが専門とする「エンタメ療育」の領域で、どのようにこの課題にアプローチし、楽しみながら成長を促していくか、その具体的な事例をお話ししたいと思います。 お箸が上手に使えない、ということは、多くの場合、指先の感覚がまだ十分に発達していない、あるいは動きがゆっくりであることの現れです。しかし、その原因をさらに深く探っていくと、問題は指先だけに留まりま
2月7日
「はーい」が言えない君へ:手を挙げるという小さな一歩に隠された大きな世界
集団の中で、他の子たちが「はーい!」と元気よく手を挙げる中、ただ一人、静かに座っている我が子。その姿を見て、「どうしてこの子だけ…」と胸が締め付けられるような思いを抱いたことはありませんか。それは、やる気がないからでも、話を聞いていないからでもないのかもしれません。その小さな沈黙の裏には、私たちがまだ知らない、子ども自身の複雑な心と体の世界が広がっているのです。 「〇〇ちゃん、ぼーっとしているようですが、呼びかけにも反応がなくて…」 園の先生からそんな相談を受け、どうしたらいいのか分からず、一人で悩みを抱え込んでいる親御さんは少なくありません。特に未就学の頃、周りの子と同じように「手を挙げる」という単純な動作がうまくできないことは、多くの親にとって心配の種となります。 しかし、なぜ子どもは手を挙げられないのでしょうか。その理由は、一つではありません。 まず考えられるのは、そもそも「自分に話しかけられている」と認識できていないケースです。あるいは、「名前を呼ばれたら手を挙げて返事をする」という社会的なルールの概念が、まだ育まれていないのかもしれませ
2月6日
「ねえ」と呼んだつもりが「ドンドン!」と叩いてしまう。力のコントロールを育む「感覚」の話。
相手に悪気がないことは、頭では分かっている。けれど、子どもに「ねえねえ」と肩を叩かれたつもりが、思わず「痛い!」と声が出てしまうほどの強さだった、という経験はないでしょうか。あるいは、自分の子どもが、そんなつもりはないのに、お友達を強く叩いてしまう。この「力の加減ができない」という困りごとの根っこには、本人の性格や優しさの問題ではなく、身体が世界をどう感じているかという、もっと深い「感覚」の機能が隠されています。 「ねえ」と呼びかけているつもりが、「ドンドン!」と強く叩いてしまう。そんなつもりはないのに、どうしても力の加減がうまくいかない。こうしたご相談は、本当によく耳にします。 では、私たちはこのような課題に対して、どのようなアプローチをとるのでしょうか。実は、力のコントロールが難しい背景には、その手前にある「感覚機能」が深く関わっています。具体的には「固有感覚」と呼ばれる、自分の体の位置や動き、そして力の入れ具合を感じ取る感覚です。この感覚がまだうまく使いこなせていないと、自分では普通の強さで触れているつもりが、相手にとっては強すぎる、という
2月5日
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