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「わからない」をほどく療育

22 時間前
読了時間: 5分

子どもが何度教えても同じところでつまずくとき、私たちはつい「まだ覚えられていない」と考えてしまいます。でも、もしかするとその子に必要なのは、もっと説明を増やすことではなく、言葉の意味を“体でわかる”経験なのかもしれません。英語の5W1Hで「What」しか答えられなかった一人の子が、ある体験をきっかけに一気に理解へ向かったことがありました。


子どもたちの学びを見ていると、「わからない」の正体は一つではないと感じます。

単語を知らないからわからない場合もあります。

ルールを覚えていないから答えられない場合もあります。

でも、それとは別に、そもそもの概念がまだ自分の中に入っていないから、どれだけ説明されても結びつかないことがあります。

今回は、ラフダイのレッスンを通して、実際に良い方向へ向かった対応事例を一つ紹介したいと思います。

テーマは、5W1Hです。

スタディクラスに通っているあるお子様が、英語のテスト授業で困っていました。何を聞かれても、疑問詞の答えがすべて「What」になってしまうのです。

「When」と聞かれても。

「Where」と聞かれても。

「Who」と聞かれても。

答えとして出てくるのは、いつも「What」。

もちろん、本人がふざけているわけではありません。やる気がないわけでもありません。ただ、その子の中では、それぞれの疑問詞がまだはっきり分かれていなかったのだと思います。

5W1Hとは、英語でよく使う疑問詞の基本です。

When

Where

Who

What

Why

How

日本語にすると、「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「なぜ」「どのように」といった意味になります。

大人からすると、これは文字で覚えれば済むように思えるかもしれません。「Whenはいつ」「Whereはどこ」「Whoはだれ」と、表にして暗記すればいい。そう考えたくなります。

でも、その子にとっては、文字だけで教えられても意味がつながりにくかったのです。

そこでラフダイで行ったのは、単に言葉として教えることではありませんでした。

「Whenは“いつ”だよ」と説明するのではなく、実際に「いつ?」を体験しながら調べる。

「Whereは“どこ”だよ」と覚えさせるのではなく、「どこでやるんだっけ?」という場面をつくる。

「Who」は、だれが関わっているのかを実際に確認する。

「What」は、何をするのか、何があるのかを体験の中で扱う。

つまり、5W1Hの一つひとつを、言葉ではなく経験として結びつけていったのです。


子どもによっては、頭で覚える前に、体で意味をつかむ必要がある。

このアプローチをしてみると、その子の中で急に意味がつながった瞬間がありました。

それまで全部「What」に見えていたものが、「これはWhenなんだ」「これはWhereなんだ」と分かれていく。言葉が単なる暗記項目ではなく、自分の経験と結びついた概念になっていく。

そして、その数日後に行われた5W1Hのテストで、その子はなんと100点を取ることができました。

これは、「頑張って暗記したからできた」というよりも、もっと根本的な変化だったように感じます。

頭で勉強して覚えることも、もちろん大切です。けれど、その前段階として、自分の中に基礎概念が入っているかどうかはとても重要です。

「When」が何を聞いているのか。

「Where」がどこに意識を向ける言葉なのか。

「Who」が人を探す言葉だということ。

「What」が物事の中身を聞く言葉だということ。

こうした土台が入ると、子どもは一気に前に進むことがあります。

逆に言えば、そこが入っていない状態で何度も問題を解かせても、本人にとってはずっと霧の中にいるようなものです。何を聞かれているのかがわからないまま、正解だけを求められてしまう。

その状態が続くと、子どもは「自分はできない」と感じてしまいます。

でも本当は、できないのではなく、入口が合っていないだけかもしれません。

特性のある子どもたちは、違ったところで凸凹して困っていることがあります。ある部分はとても得意なのに、別の部分で引っかかる。その引っかかりが周りから見えにくいこともあります。

だからこそ大切なのは、「なぜできないのか」を丁寧に見ることです。

怠けているのか。

覚えていないのか。

意味がつながっていないのか。

そもそも体験として理解できていないのか。

その困り感を見つけて、そこに合ったアプローチをすると、一気に解決に向かうことがあります。

今回の5W1Hのケースも、まさにそうでした。

文字で覚えることが難しかった子が、体験を通して意味をつかんだ。すると、テストの結果まで変わった。これは単に点数が上がったという話ではありません。

「わからない」が「わかる」に変わった瞬間の話です。


つまずきは、能力の限界ではなく、まだ見つかっていない理解の道筋であることがある。

ラフダイでは、このように子どもたち一人ひとりの問題や課題に対して、さまざまな角度からアプローチしています。

同じ5W1Hでも、紙で覚えられる子もいれば、体験して初めて理解できる子もいます。説明で進める子もいれば、動きながら、見ながら、感じながら学ぶことでつながる子もいます。

大切なのは、子どもを一つの方法に合わせることではなく、その子に合う入口を探すことです。

「What」しか答えられなかった子が、5W1Hで100点を取った。

その変化は、特別な奇跡ではありません。

その子の中にあった理解の可能性に、ようやく合う形で出会えたということなのだと思います。

子どもの「わからない」の奥には、まだ言葉になっていない困り感があります。そこに気づき、ほどいていくことができれば、学びはもう一度動き出します。

 
 
 

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