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エンタメ療育で育てていくコミュニケーションの力

4 日前
読了時間: 3分

誰かと話しているとき、ふと気づくと自分ばかりが話してはいないでしょうか。私たちは皆、自分の物語を、自分の感情を、誰かに聞いてほしいと願っています。しかし、その想いが強すぎると、相手の言葉を受け取るためのスペースを見失ってしまうことがあります。会話とは本来、一人でするものではなく、二人で編み上げていくもの。それはまるで、ボールを投げ合い、受け取り合うキャッチボールのようなものです。もし、そのボールが一方的に投げ続けられるだけだとしたら、どうすればいいのでしょうか。


「自分のことばかり話してしまう」。これは、私たちが療育トレーニングの現場で非常によく耳にするご相談の一つです。その背景には、そもそも「会話のキャッチボール」という概念そのものが、まだ心の中に根付いていないケースが多く見られます。コミュニケーションとは、視線、表情、言葉の選び方、タイミングといった、無数の複雑な要素が絡み合った高度な営みです。だからこそ、私たちはその中から「渡す」と「受け取る」という本質だけを抽出し、ゲーム感覚で楽しく学べるトレーニングを行っています。


例えば、「わたし」と「あなた」というカードを使ったシンプルなゲームがあります。子どもたちはまず、「わたし」のカードを手に持ち、自分の話をします。そして話し終えたら、「あなた」のカードを相手に「どうぞ」と手渡すのです。受け取った相手は、今度は自分の話を始めます。この物理的なカードのやり取りを通じて、「話すターン」と「聞くターン」を視覚的に理解し、会話の流れを身体で覚えていくのです。


もう一つのアプローチとして、「時間の区切り」を設ける方法も効果的です。これはPCIT(親子相互交流療法)の考え方にも通じるものですが、まずは時間を区切って、その子の話に徹底的に寄り添います。「この5分間は、あなたの時間だよ。何でも話していいよ」と。そして、その時間が終わったら、「ありがとう。じゃあ、次の5分間は先生の番ね」と、見通しを立てて役割を交代します。


このアプローチの鍵は、「楽しむこと」です。自分が話す時間を心から楽しむことができれば、次は「先生が楽しむ番に付き合ってあげよう」という気持ちが自然と芽生えます。自分が受け入れられたという安心感が、相手を受け入れる土壌となるのです。「自分が楽しいのを認めてもらえた。だから、相手が楽しむのも待ってあげよう」。この繰り返しの中で、子どもたちは焦らずに相手のターンを待ち、他者の言葉に耳を傾けることができるようになっていきます。


私たちは、こうしたトレーニングを演劇やダンスのようなエンターテインメントとして提供しています。なぜなら、心が動く「楽しさ」こそが、人の最も深い部分に変化をもたらすからです。会話のキャッチボールは、単なる技術ではありません。それは、自分の世界を少しだけ開き、相手の世界を迎え入れるための、心の練習なのです。その一歩を踏み出すことで、世界は一人で見るよりも、ずっと豊かで広がりがあることに気づくことができるでしょう。

 
 
 

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